相手ありき

今日は街に出なかった。


連れ出しを打診した際の、相手の断り文句はあまり多くない。
「もう帰るところなので」、「急いでるので」、「あっご飯もうつくってあります・・」、「友達と約束があるので」。
断り方を普段からじっくりと時間をかけて考えている女性はそんなにいないのかも知れない。
他にやりたいことがあるだろうし、特に考えていなくとも適当な理由をつけて断れば、たいていは男は引き下がる。
そうして、何度も何度も適当な理由でうまく断れた経験が、より同じ断り文句を使わせる。
たとえ考えていたとしても、街中で急に声をかけられると長々とした言葉は出てこない。
よーしナンパするぞーと最初から分かっている自分でさえ、
対面すると言葉が出てこなくなるのだから、なんの前触れもなく声をかけられて
とっさに言葉がでてこなくなるのは当然だろう。


とっさに思い浮かぶ理由は、せいぜい一時間くらい後までの自分の行動だ。
それも複数ではなく、たった一つの理由しか述べられない。
「今、急いでて、友達とカフェで待ち合わせしてて、その後に大学の友達と久しぶりに飲みに行き、
 家に帰ったら毎週絶対に見てるドラマをリアルタイムで見たいから、
 ・・・すみません。」
こんな長々とした断り文句、聞いたことがない。
断り文句は途中で息継ぎしなくても言い切れるほど短い。
だから、単純だ。


単純なのだけど、それでもどうしたら相手が納得して
自分についてくるかは良く分からない。
人はどんなときに「YES」と言うのか。
そうした知識を身につけなければならない。
ただし、知識だけではどうしようもない。
納得してほしいのは自分ではなく相手なのだ。
相手がいて初めて成り立つ。
だから、知識だけ手に入れても役には立たず、
実際に街に出て話しかけることでしか何も変わらないのだ。


もっと街に出ようと思う。