メンテメールからのデート 後編


前編のあらすじ
どしゃぶりの日に連絡の途絶えていた子たちにメールを送った。
そのなかから返信のあった子と映画デートをすることになった。
そして、家に連れて帰ったまでは良かったのだが、夜中の1時に帰ると言いだした。
どうせ建前だろうと思っていが、本当に家から出て行ってしまった。
すっかり元気をなくした私はベットに横になっていた。
ところが、その子からの電話がなった。


「もしもしー、同じ階に戻ってきたんだけど、どこの部屋かわかんなくなっちゃった。」
「えっ!?戻ってきたんだっ」
「うん、電車なかったー。」
「そうなんだ。ってかなんで電話?空いてるし、はいってくればー。」
「だからー、わかんなくなったんだってば!」
「あ、そうだった。今行くわ。」
ドアをあけると、たしかにその子が迷っている姿を見つけた。
こっちだよと部屋に招き入れた。
部屋に入ると、女の子は床に座った。
もう、眠かった。明日も仕事だ。
じゃぁ泊まっていきなよ、と改めて言うとやっぱり歩いて帰ろうか、なんて言ってる。
私はとにかくベットに入り身体に布団をかけて寝ることにした。
音が何もしなくなった。
どうやら、女の子も寝る気になったのだろう。
「こっち入りなよ」
と告げるが、
「いい。私、床で寝る。」
と返事が返ってくる。
まさか、ここまでのグダでさえ序盤だったのだろうか。
さすがに女の子を床に寝かせるわけにはいかないので、私と場所をかわろうと
打診するも、それもいいという。
寝ることにした。
だけど、寝れない。
床をそっと見てみる。うつ伏せになっている。
ワンピースのその子は背中からお尻にかけて柔らかい曲線ができていた。
ワンピースの端からはすらりと伸びる脚が続いていた。
せっかくなので、じっと見てみる。
ついでに、柔らかそうなふくらみを触ってみる。
ふむ、柔らかい。
んーー、といって手を払いのけられる。
「やっぱ、こっちきなよ。寝辛いでしょ。」
と言うとついにベットに入ってきた。

あぁ、長かった。やっとこの時がきたのだ。
腕枕をして隣に寝転んでいると、ふわりと香水のにおいがした。
ドルチェ&ガッバーナのライトブルーだ。
爽やかなのに大人なこの香りで、スイッチが入った。


そっとキスをしようとする。が、顔をそむける。
右からいけば左に、左からいけば右に顔をそむける。
「だーめ。しないの。」と言いながら逃げゆく。
こんなにツンツンしている子は初めてだ。
そんなやりとりを何回か繰り返す。しかし、ガードは一向に解ける気配がない。
あまりにも、固いのだ。
私は、またもやあきらめた。


そして、気づけば、恋の話をしていた。
もうすっかり降参の私は思いのままに話した。
いつも女の子に対してすぐに手を出すことも、いまいち誰かを好きになれないことも、
一回きりの子が過去に何人もいたことも話した。
私が次から次に話していくと、女の子からも言葉がでてくる。
実は好きな人がいて、その人と何回か会ってSEXもしたのだという。だが、付き合っているわけではないようなのだ。
「ねぇ、私このまま付き合えないのかな?」
「それははっきりいうと、無理だねー。すぐにヤッちゃったの?」
「うんん、ちゃんとデートもして、3回目のデートだったよ。」
「そうなんだぁ。付き合う前にさ、ヤッちゃったら、男からして付き合う理由なんてあるのかな。」
「・・・。ねぇ、ほんとに無理なのかな。」
「うん、無理だと思う。だって、付き合う理由がないもん。男からしたら、今のままでいいじゃん。付き合ってるわけでもないんだから、他に彼女を作ったとしても罪悪感が少ないわけだし。」
「んんん・・・。そうなんだ。あーーー。無理なんだね。そっか。。」
頭をなでて、顔を近づけた。
「・・なに?」
質問には答えず、キスをした。
今度はほとんど逃げず、少し顔をずらす程度だった。
「んんん、、だめっ。急にどうしちゃったの?」
この質問にも答えずキスをした。
そこからはただお互いを求め合った。


時計を見ると夜中の3時だった。


朝になると、まったく動こうとしない自身の身体に鞭を打って、浴室まで足を運んだ。
シャワーを浴びて部屋に戻ると、まだ横になっている女の子がこんなことを言ってくる。
「ねぇ、こんどね、代々木公園でタイフェスティバルあるんだって。行ってみたいよねー。」
「へー、そうなんだ。おもしろそうだね。」
私はこういうときにキュッと切なくなる。
付き合ってほしいなんて言えないけど、また会いたいと思ってくれる女の子は、
どこどこ行きたいよねーと出方をうかがってくる。
そして、それを受け流された子はもう二度と会えないんだと悟る。
その顔が切ない。


家から出て仕事場に向かった。
女の子を駅まで送る道で、ぼんやりと考えていた。
これでよかったのだろうか。なんで女の子は私とSEXしたのだろうか。
私は散々、遊んでいることを素直に話したし、ガードの固かった今日の子は
遊んでいる人と一夜を過ごしたくなかったのではないだろうか。
私は女の子がSEXしたいと思っていないなら、しない方がいいと思っている。
そういうルールで遊んでいたので、そのルールを破ってしまったのではないかと不安になっていた。
気づくと駅に着いていた。
じゃあね、と最後の言葉を交わした。


電車に乗り「今日はありがとう」とメールを送った。
メールは20分ほど返ってこなかった。
今回は、こういう終わり方なんだろうか。
またもやモヤモヤした思いが頭をよぎる。


すると、メールが返ってきた。
「気分が良くて、ちょっと歩いちゃった。」
あぁ。歩いてたのか。
気分が良くて、という言葉でふわりと胸が軽くなった。